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LOVE&PEACE PROJECT 2018インタビュー③ PEACEプロジェクト学生インタビュー
2018.09.11

LOVE&PEACE PROJECT 2018インタビュー③ PEACEプロジェクト学生インタビュー

LOVE AND PEACE PROJECT

JICAアフガニスタン事務所次長の上原さんとのインタビュー(インタビュー記事はこちら>>)の中で、「PEACE」という活動について話が出てきました。アフガニスタンの今、そしてこれからのアフガニスタンについて語る上で、ぜひとも日本に留学に来ている学生とお話がしてみたいと思い、インタビューの場を設けていただきました。

まず、インタビューに入る前に簡単に「PEACE」という活動についてご紹介します。
日本は、アフガニスタンに軍事的支援は全く行わず、インフラ面、教育面などを中心に支援してきた歴史があります。JICAもその方針にしたがってアフガニスタンへ支援を行ってきたのですが、その中の「PEACE」という支援プロジェクトに着目しました。
PEACEとは、Promotion and Enhancement of the Afghan Capacity for Effective Developmentの頭文字をとったもので、「未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト」と呼ばれています。
2011年から始まったこのプロジェクトは、アフガニスタンで未来の国を担う人材(行政官・大学教員など)に日本に留学してもらい、日本でさまざまな教育を受け、学び、その事を国の運営に活かしてもらう、というプロジェクトを実施しています。今まではインフラおよび農業・農村開発分野を中心に行ってきましたが、2017年度より、ソフト面も充実させるために、保健(医療)、教育(特別教育、識字)も追加され、今までで580名(うち、15名は来日予定)の学生を受け入れております。
すでに、400名の学生が帰国し、アフガニスタンの各省庁にもどって行政の中核を担っている人材もいます。

未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト>>
未来への架け橋・中核人材育成プロジェクトフェーズ2>>

そして、今回は、現在日本に留学中の3名の学生の方と、PEACEのOBでもあり現在アフガニスタン大使館で2等書記官をされているAsif Agah(アガアさん)に来ていただき、たくさんのお話を聞かせていただきました。わたし、MAKORI自身もまったく知らなかったアフガニスタンの今までの歩み、現在、そしてみなさんが考えるこれからのアフガニスタンについて少しでもお伝えすることができたらと思います。(インタビュアーhaco! スタッフMAKORI)

まずはPEACE学生の3名の方のご紹介します。

Ahmadzai Waisuddinさん(ワイスさん) 30歳
2016年9月に来日。アフガニスタンでは農業灌漑牧畜省で働かれていて、現在は横浜市立大学で生物学研究をしています。とくにアフガニスタンの主食である小麦の研究をされています。とても背が高く優しい話し方が印象的な方でした。

Niamatullah Dawlatzaiさん(ニヤマットさん) 29歳
ワイスさんと同じく2016年9月に来日。アフガニスタンでは農業灌漑牧畜省で働かれていました。現在は東京農業大学で収穫後の果物の保存方法の研究をされています。話し始めるととても熱い心の持ち主です。

Zohra Ghaiorさん(ゾフラさん) 30代
2017年9月に来日。アフガニスタンでは内科医として勤務されていました。お茶の水女子大学で分子生物学を学ばれ、乳がんと遺伝子の研究をされています。3歳のお子様のお母さんで、志がとても高く、すべての言葉にキラキラとした想いが溢れていました。

Asif Agahさん(アガアさん) 36歳
まさかのMAKORIと同い年でした。(落ち着いていらっしゃる…)
2012年~2015年PEACEプロジェクトで名古屋大学に留学。行政学を学ばれていました。帰国後アフガニスタンの外務省本省で働いたあと、2016年から在日本アフガニスタン大使館、アガ2等書記官として勤務されています。後輩の3名の話を暖かく見守られる姿勢がとても印象的でした。

※以下は皆さんのお名前を、カタカナで表記させていただきます。

それでは早速インタビューへ移りたいと思います。なお、こちらのインタビューは英語で行われ、通訳などに関しては、JICAアフガニスタン職員の方々にご協力をいただきました。



MAKORI この度は、お忙しい中我々のインタビューへご参加いただき、ありがとうございます。「PEACEプロジェクト」のことをお聞きして、ぜひとも日本で勉強しているみなさんのお話を聞いてみたいと思っていたので、お会いできてとてもうれしいです。
ぜひ、アフガニスタンのこと、そして皆さんのことをお話いただけたらと思います。

ではさっそく。

私たちをはじめ、日本人はどうしてもアフガニスタンのイメージが、2001年の9.11で止まってしまっている人が多いと思います。その9.11の当時のことそして今のアフガニスタンのことなどぜひ、教えていただきたいです。

ワイスさん 2001年前までは、インフラというインフラは全く整っていない状況でした。例えば学校は建物がなくテントの下で勉強していましたし、先生もちゃんと資格を持っている先生ではありませんでした。ビルも道路も舗装されていなかったし、病院も医療設備は不足し、医者や看護師はとても少ない状況でした。
2001年以降各国からの援助も始まり建物が建ち始めたり、教育制度も整い始めました。十数年かけて、だいぶ復興してきたイメージです。

ニヤマットさん タリバン政権下で、国が荒れていたのはもちろんなのですが、もう少し遡ると1979年のソ連侵攻のときから荒廃は始まっていました。1979年前までは食糧自給ができていましたから。とくに教育制度に関しては2001年まではまったく整っていないといっても過言ではありませんでした。

MAKORI なるほど。どうしてもタリバン政権崩壊の2001年で大きな変化があったというイメージでしかなかったのですが、もう少し長い目で見ると1979年のソ連侵攻あたりから大きな波があったのですね。

ニヤマットさん そうです。アフガニスタンは、いろんな国に囲まれています。なのでどうしても隣国の状況や影響を受けやすい国です。そういう意味では、難しい面が多いと思います。皮肉なことにタリバン政権時代は、政権の強い力により国内での戦争はありませんでした。

MAKORI 内戦を経て強い力で押さえ込んでいたということでしょうか。少し踏み込んだ質問になりますが、アフガニスタンの人にとっては、タリバン政権が崩壊して良くなったという印象でしょうか?

ゾフラさん 確かに、タリバン政権時は物理的な戦争はありませんでしたが、彼等に統治能力があるわけではなかったので恐怖政治に近いものでした。私が住んでいた地域は、もともとは女の子も学校に行っていたのですが、タリバン政権後、女子は学校に行くことができなくなりました。

MAKORI タリバン政権下で、女性の進学率が0%と聞いたときは驚きました。

アガアさん 2001年を境に国は大きく変わったと思います。政治、経済、社会の面で大きく変わりました。選挙が行われリーダーを国民が選ぶことができるようになりました。経済も教育も各国からのファンドがあって大きく前進しています。メディアも国営放送しかありませんでしたが、今では民間放送もあります。いろいろな産業で民間企業の活動が増えてきています。

ワイスさん ただ政府が治安の安定に取り組みつつも、不安定な治安情勢が発展を遅らせているというのも事実です。

MAKORI タリバン政権崩壊、と一言で言っても、まだタリバンがいなくなったわけではないし、治安の悪い状況が続いているということも事実ですね。

お話を聞くまで、勝手に「アフガニスタン対どこどこの争い」、と思い込んでいたのですが、歴史的地理的な要因で起こった“たくさんのこと”なんだな、と思いました。
それを知ることができただけでも、アフガニスタンへの誤解やイメージが変わります。

反対に、こうすれば良くなる!と簡単に片付く問題ではないことが、よくわかりました。
とはいえ、歩みを止めるわけには行きませんし、現に良くなっていることもたくさんあるので、これからも“アフガニスタンの皆さんの生活が少しでもよくなること”にきちんと目を向けたいなと思いました。

あと、ふとした疑問なのですが、女子の教育制度が整ってきているとのことですがアフガニスタンでは男女別の学校に通うのでしょうか?

ゾフラさん 小学校までは共学です。中学校から男女別の学校になります。都市と地方で差はありますが少しずつ女性の進学も増えていると思います。

MAKORI それでは次に、日本のことや、なぜPEACEプロジェクトに参加しようと思ったかをお聞かせいただけますか?

ワイスさん 高校生のときに父の友人が日本に留学していた話を聞きました。日本の国の名前はアフガニスタンで有名なので、知っていましたが、その人から日本人は勤勉で親切という話を聞いたり、日本製の品質の高さを聞いていたのでより興味を持ちました。2011年にこのプロジェクトを聞いた際はすぐに応募したかったけど、当時は実務経験がなかったので、実務経験を積んでようやく今回来ることができました

ゾフラさん わたしは、テレビで侍の映画をみたことが、日本に初めて触れたきっかけでした。あと、日本の電気製品や、車も有名です。街でよく中古車も見かけますから。そしてPEACEプロジェクトは、JICAの活動の中で知りました。JICAって有名なんですよ。

MAKORI へえ!JICAって有名なんですか?

ゾフラさん そうなんです。日本は軍事支援をしていないでしょ?代わりに橋を作ったり、農業や教育支援をしたり。そういう建物に「JICA」と書いてあるので、みんな知っているんですよ。

MAKORI それはちょっと嬉しいお話ですね。ありがとうございます。
あとゾフラさんにお伺いしたいのですが、少しずつ女性の進学率も増えているとは言われますが、ゾフラさんのように医者として勤務できるほどの教育を受けている人はまだまだ少ないと思っているのですが、実際のところゾフラさんのような女性は少ないのでしょうか?

ゾフラさん そうですね。わたしは正直恵まれていると思います。家族のサポートもありました。現在も夫のサポートがあり、日本に留学することができています。
なので、日本で学んだことを帰国後はアフガニスタンにかえしていきたいと思います。

MAKORI 帰国後のお話が出てきたので、PEACEプロジェクトで学んだことをどう活かしていきたいか、ぜひ皆さんにお聞きしたいと思います。

ゾフラさん わたしは帰国後も医者として働きたいです。特に女性に携わる分野で。もちろん乳がん研究も活かしていきたいです。医学分野以外では、社会福祉の分野に興味があります。まだまだ女性の教育レベルは高いと言えませんし、なかなか女性が自立して生活するのは難しいです。
そのためには、私自身が決定権を持てることが必要です。国に戻ったらそういう意味でも偉くなって、意思決定を行っていきたいです
もちろん、JICAともつながりを持ち続け、カウンターパートとなっていきたいと思っています。

MAKORI (思わず拍手)
なんて素敵な…。私を始めとして、日本の女性も見習わないとですね。ゾフラさんのような女性の存在は、絶対アフガニスタンの未来に必要です!!
個人的に、置かれた環境に甘んじるのではなく、志を持って学ばないと行けないんだな、とハッとしました

ワイスさん、ニヤマットさんにもお聞きしたいと思います。

ワイスさん アフガニスタンは農業国です。8割の国民が農家です。
そして小麦はアフガニスタンの主食ですから、小麦の収穫が安定すると自ずと生活が安定します

日本でたくさんの技術を学びましたが、お金の問題などもあり、そのままアフガニスタンに導入できるわけではありません。特に農家が機械を買うのはなかなか難しいと思います。
なので、まずは研究所で導入を進め、アフガニスタンで研究をできるようにしたいです。
また、アフガニスタンでは、雨が少ないため干ばつが問題になります。干ばつに強い品種の開発を進める必要があります。時間はかかるでしょうが、やらないといけないことです。
また、農家にはワークショップなどを通して、生産量を上げる技術などを広めていく予定です。

MAKORI 日本には、「農協」という全国的な組織がありますが、アフガニスタンにはそのような組織はあるのでしょうか?

ワイスさん 関心はありますが、まだまだです。でも、今からどんどんそのような組織化も進んでいくと思いますよ。

ニヤマットさん 日本では、現場教育がさかんですが、アフガニスタンでは机の上の勉強のみに終わることが多いです。まずは、現場教育の大切さを伝えるところから始めたいと思います。
アフガニスタンでは、ぶどう、りんご、ザクロ、ナッツなどたくさんの果物が収穫されます。しかし、保存技術がないために4割以上が市場に出る前に傷んでしまいます。このため、収穫自体は十分されているはずなのに、季節によって価格が大きく変化して市場が安定せず、農家の生活が安定しないことに繋がっています
そして、それらの特産物を輸出すべく、いくつかの国との間で貨物便の航路も増えてきているのですが、保存技術がまだまだ追いついていません

大きな機械は買えませんが、保存するためのコーディング技術や薬、フィルムなどを持ち帰ってアフガニスタンの気候や品種に適応させる研究を続けたいと思います。

MAKORI みなさん、ありがとうございました。
明確なビジョンや目標があって、本当に素晴らしいと思いました。

アフガニスタンの現状を知り、アフガニスタンのために学んでいるみなさんだからこそ、明確な目的を持って学んでいると思います。その中で少しでも日本の技術や、日本での生活が役に立つならそんなにうれしいことはありません。

少しだけ、日本での生活についてもお聞きしたいのですが、文化の違いなどで苦労したことはありませんか?

ゾフラさん 日本語が難しいですね。でも、皆さん親切ですし、困ることは特にありません。ハラルフードを普段食べますが、お味噌汁、天ぷら、お寿司は大好きです。
私の子供は日本の保育園に通っていますが、娘から日本語を教えてもらうこともあります。

MAKORI イスラム教徒は日本ではあまりいません。そのあたりで苦労したことはありますか?

ワイスさん あまり問題はありません。お祈りのための場所も研究室の近くに作ってもらいました。

ゾフラさん 私も学校では、空いている教室でお祈りをしています。生活の中で工夫しているので問題はありません。

MAKORI 最後に。アフガニスタンのいいところなどを是非教えてください!!

ワイスさん 勇敢な人が多いです。そして、ホスピタリティがある
家にはゲストルームが必ずあり、旅人をもてなすという文化があります。
我が家には、アメリカの兵士が泊まったこともあるんですよ!

ニヤマットさん 家族のつながりがとても強いです。大家族で住んでいるのも大きな特徴です。
特産品でいうとアフガニスタンのカーペットは質がとてもいいです。
あと、民族舞踊と音楽はとても美しいので、ぜひ見ていただきたいです。

ゾフラさん “人”を誇りに思います
まだまだたくさんの問題を抱えていますが、その問題を克服しようとする強い人がたくさんいます。特に女性は強いです。未来に向けて希望を持って生きている人がたくさんいます。そんな“人”びとを誇りに思います。

アガアさん アフガニスタンは、まだまだ問題が多いし、今までもたくさんの苦労を経験してきました。
でも、彼ら3人のようにこれからの若い世代が次の時代を担って、アフガニスタンを変えていってくれるという希望を持っています。そんなアフガニスタンを誇りに思います

MAKORI みなさん、たくさんのお話をありがとうございました。
今までニュースで見たことや想像から勝手に抱いていたアフガニスタンのイメージとは全然違う姿を見ることができました。そして、みなさんが日本で学び、自国に活かそうとしている熱い想いにはハッとさせられました。国を超えて、教えられたこともたくさんありました。

そして今回のこのプロジェクトを通して、我々も少しでもアフガニスタンが良い未来に向かうお手伝いができるよう、頑張りたいと思います。

今日は本当にありがとうございました。

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