なにもしらない画廊 ⑦「未来の道路標識みたい」【作者・菅井汲】
なにもしらない画廊こんにちは。しらん氏です。
今日は道路標識みたいに見える、菅井汲(すがいくみ)さんの作品をご紹介!くみさんと知って、女性かな?と思っていたら、男性のようです。実は画廊を始めた時からずっと気になっていたこれらの作品。
絵画というより図形に見えませんか?色鮮やかな色彩で、シンプルな構成だから記憶に残りやすかったのかもしれません。菅井さんは「屋外に置き、50メートル先から見て目を刺激し、パッとわかるようにしたいと考えた時から、いまのような絵を描くようになった」(「毎日新聞」夕刊1969.1.9)とおっしゃっているように、ほんとに標識のような作品です。
そして菅井さん、とっても面白い人でこんなエピソードがあるのだとか。
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彼の「無駄を省く」姿勢は実生活にも及び、朝食、昼食、夕食のメニューはそれぞれ決まっていて(たとえば朝食はコーヒーとチーズ、昼食はスパゲッティ・トマトソースとソフトサラミなど)、同じメニューを1年365日、20年間食べ続けたという。
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20年間も同じ食事!7300日、2万1900食同じ!この無駄を省く姿勢は、作品づくりから派生したもので極力シンプルに単純化された作品を制作していたようです。
菅井さんの詳細についてはこちらをご覧ください。
・「菅井汲」(2018年9月16日 (日) 13:19 )『ウィキペディア日本語版』
今回は大判の版画2枚と、
「色のカーニバル」というアクリル版に図柄がプリントされていて、中に挟む色画用紙を差し替えていろんな色が楽しめるちょっと変わったもの。
水色の箱の中には2セットのアクリル版が入っていて 四隅がネジで固定されています。
ネジは簡単に取り外しできて
こうやって色画用紙を取ることができます。
画用紙がない状態でも素敵な図柄。
アクリルの厚みはこんな感じ。
あらかじめセットされている画用紙以外は、こんなシートにつつまれていて(43年前の作品なのでセロテープが劣化しています)
封をあけると
5種類の画用紙が入っています。
一番上にあったシルバーの画用紙が、経年劣化したセロテープの影響でちょっとめくれてしまっています。季節が変わったり、飾る部屋を変えるときに色も一緒に着せ替えできて楽しそう。セットされている画用紙を挟むだけじゃなくて、自分の好きなものを挟んでもよさげだなあ。
そしてまさか!版画じゃない、素敵なトランプも見つけました!
梱包された状態だとハートのキングしか柄を確認できず、「全部のカード、柄が一緒ってことはないよな?きっと違うだろけど、、いや、でも確認しないとわかんないな、真実を伝えたい!」ってことで、そーっと開けさせてもらいました!
はい!全部柄は違うと思います!(薄いフイルムの梱包を元に戻す自信がなくて、全てのカード出して確認してません!)
そしてお次は5枚の版画がセットになった作品3種類。
縦30.0cm×横25.3cmの小さめサイズで、気軽に飾れます。5枚それぞれ図柄が違っているけれど、統一感があるから複数枚飾ってもごちゃっとせずおすすめ!
菅井さんの作品、じーーーーーーーっと眺めていると、本当に未来の道路標識に見えてきて、標識のタイトルとストーリーがじわじわ浮かんできたので発表させてもらいます!
未来の道路標識1
油断禁物
青「なあ緑。なんで緑やのに青信号とよばれてるんや」
緑「いやあ、しらんし。勝手にみんながそう言ってるだけやし」
青「ええよなあ、緑やのにみんなから青になれ青になれって、待ち望まれる眼差しでみられて。緑やのに」
緑「いやあ、べつに」
青「くっそ、みとけよ」
青が緑が居座る、青の座を取り戻しにいく。
いつものことが当たり前だと思って安心していてはいけません。
未来の道路標識2
生麺製造機有り
インスタントラーメンが進化し、お湯を注いで食べるカップ麺があったのは遠い昔。全国どこのラーメン屋のスープでも再現できるフリーズドライ自販機があちこちにある。インスタントラーメン業界が超えられなかった、お湯を注ぐ麺の壁。
どうしても超えられない業界が生み出した、生麺製造機。
製麺機の前で店名を言うだけで、どこの店の麺でも製造可。いつでもどこでも名店の味。
未来の道路標識3
分身の術可
時は20XX年。
戦国時代に諜報工作員として活躍した忍者の子孫たちは、先祖代々分身の術を受け継いでいた。人口減少・少子高齢化問題に打つ術を無くした日本政府は、これまで封印してきた分身の術解放令を発表。この特別認定カードを持つ有能な忍者の子孫だけが使うことを許される。医療・介護・救助・教育の場で多く使われるが、国際競技連盟より競技で使うことは固く禁じられている。
未来の道路標識4
それは永遠に抜け出せないループ危険
「それはあかん、やめとき」
「わかってるけど、でも…」
思い起こせば3年前。
あの時確かにみんなから注意を受けた。
わかってはいたけど、やっぱりできなかった。
もう、あの時には戻れない。
そんな道に入ってしまいそうな時、あなたの目の前に現れる。
未来の道路標識5
飛び出しロボット坊や
これは飛び出し坊や
こちらが飛び出しロボット坊や
通学路周りに重点的に設置されていた飛び出し坊や。ドローンによる配達が主流になった今、町中をあらゆるロボットが飛び回っています。昔ながらの飛び出し坊やに馴染みがある人が多いので、坊やの顔をロボット風に表現。特に配達の多い午前中や休日、ドローンが急に飛び出しそうな角に設置しています。
菅井さんの作品を眺めていると、こんなことを思いました。
みなさんは、どんな未来の道路標識を思いつきましたか?じーっと眺めて、遊んでみてください!
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