LOVE AND PEACE PROJECT 2022 基金の拠出について
「ラブアンドピースプロジェクト2022」にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
「ラブアンドピースプロジェクト2022」で集まった基金、および寄付金総額は 1,198,883円(2023年7月末時点)となっております。
昨年度の支援活動は、これまでの支援金の蓄積とも合わせて、
今まさに戦時下にある、ウクライナのこどもたちへの支援に集中いたしました。
また、ウクライナのこどもたちが描いた絵の復幸支援Tシャツを販売開始いたしました。
2023年9月4日には、来日した坂本さんとお会いして、ウクライナのこどもたちの「いま」について聞いてまいりました。
簡単なインタビュー記事にはなりますが、少しでもウクライナの現状を感じていただければと思います。
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haco!:
復幸支援Tシャツにもなった、ウクライナのこどもたちの描いた絵ですが、あの絵は日本で巡回展もされているんですね。
坂本さん :
こどもたちが一番感じているのは「感謝」なんですね。自信がついたとかではなくて。
彼らは、自分の絵がこんなに広がっていくことを想定せずに描き始めています。ただ単に自分の気持ちを描いた絵に対して、日本語はできないけれど絵を通していろんな人が見てくれるっていうことがわかって、「見てくれてありがとう」っていうのが、こどもたちの中で一番大きいんですね。
それで、絵を描けば少しウクライナのためになるということを彼らが思い始めたっていうのは、すごく大きいことだと思います。
私にとっても嬉しいですし、それを見てウクライナのほかの避難所とか地域の人も「日本に絵を送りたいんだけど」っていう話を聞くようになりましした。
あと、こどもたちが(絵を)描いた時期によって少しずつ変わっていっている気もしています。
haco!:
変わっていく、というのは、描いている絵の内容が、ということですか?
坂本さん :
はい。最初は戦争の悲しい絵ばっかりだったけど、最近は将来の夢を描いたりして。
描き続けることで、見てくれている人がいるんだいることがわかり、
そしてそれが日本にいって、その心を日本の人が感じてくれてる、気づいてくれてるって思いだしていることが影響を生んでいて。
絵にはこどもたちの心が出るんだなって思いました。それには驚きましたね。
haco!:
今回の来日の目的は?
坂本さん :
支援の感謝を直接伝える、というのももちろんですが、今回、ウクライナのこどもたちと小学校・中学校・高校を回るんです。
日本のこどもたちに、同じ歳くらいのウクライナのこどもたちがそういった経験をしているということを知ってもらおうと。
こどもたちから直接聞くからこそ実感を持つと思うんですよね、自分ごととして。
そうすることによってウクライナの子どもたちのためにもなりますし、日本のこどもたちのためにもなる。
それがなぜ大事かというと、私たちはたぶん、復興の途中までしかきっと関われない。
でも、心のケアって、世代を超えてケアが必要で。それって私では無理なんです。次のこどもの世代に託さないと。
それはたぶん、30年後、40年後の、私がいなくなったあとのウクライナにつながっていくことだと思うんですよね。
そう思うと、やっぱりこどもに焦点を当てていくことがとても大事だと思っています。
haco!:
わかります。やっぱりこどもが大きくなったあとに、そのときのこどものこどもがどうなのっているのか、と考えていかないとですよね。
実際、いまのウクライナでは、こどもたちの状況はどんな感じなのですか?
坂本さん :
正直、こどもが一番、今、問題を抱えていると思います。キレやすくなったり、授業に集中できないとか、得意科目がゼロになったとか、不登校になったりとか。
あとは、やっぱり孤児も増えています。お父さん、お母さんを亡くした子たち。
両親をともに亡くしたというケースは多くはないですけど、お兄さんを亡くしたとか、近所のお兄さんがいなくなったとか、自分の学校の卒業生が亡くなったとか。
実際に葬式に行くことで、心がすごくやられてるんですよね。
私、行ってほしくないっていう気持ちがあるんですよ。葬式に行かないほうがいいんじゃないかって。
でもウクライナの人たちは、葬式に行って自分のお兄さんたちや自分の(学校の?)卒業生とかがどう戦ったかっていうのを見ることが、
たぶん教育だと思っているんですよね。
それでこどもたちを連れて行くんですよ。ただ、そのがきっかけでこどもたちが泣いているっていうのも見ていて、複雑な気持ちですね。
私としては、それは見せないほうがいいんじゃないかなって。心のために。それで心を病んでいくこどもたちがいるので。
haco!:
それは、ポーランドに避難してきた子もウクライナに残っている子も?
坂本さん :
そうですね。ポーランド側にもやっぱり親を亡くしてから来ている人もいますし。
それと、ポーランド側では、こどもの言葉は相当大変ですね。
今、特に問題が起こっているなと思っています。
例えば小学校の低学年とかだと文字を勉強するじゃないですか。
今までウクライナ語で勉強してきたので、ポーランド語は全然できないわけです。
そこでポーランド語を勉強するようになることで、今度はウクライナ語での記述能力がどんどん下がってしまうんです。
話やチャットをしていても、日本人である私が、「このウクライナ語違う」ってわかるくらいウクライナ語を間違えるんですよ。
それくらいウクライナ人のこどもたちのウクライナ語の能力が下がっていっているんですよね。
haco!:
ポーランドではウクライナ語を使わないから。
坂本さん :
そうなんです。そして一番問題だなと思うのが、このままだと彼らがウクライナに帰ったら授業についていけないと思うんですよ。作文が書けない。
ポーランドに来たこどもたちは、将来的にはウクライナ語もポーランド語もできるバイリンガルになるっていう思いが結構期待されている一方で、
ポーランド語もウクライナ語も両方、作文ができない。つまり、両方の言語で卒業試験とか大学入試とかできない。結局どの言葉でも自立できないこどもが増えていくんですよ。母国語もままならない、外国の言葉もままならないって、高校とかすごく大変ですよね。
ポーランドって、学校の進級のシステムが日本とはちがって、試験に落ちたら小学生でも落第してしまうんです、1年生でも2年生でも。日本だと出席しなくても勝手に進級するじゃないですか。
ポーランドはそうではないので、ウクライナのまわりのこどもたちは、ポーランド語を習得できないことで試験に落ち、落第しているんです。
でも当然そうなりますよね。ポーランド語がで育った、ポーランドのこどもたちと同じ試験を受けているので。
そしてウクライナに帰っても、ウクライナ語でずっと勉強していないことで、わかっていたこともわからなくなり、結果どの国でも落第し続ける。
結構それってメンタリティー的にきついと思うんですよ。
ただ、そういう問題って見えないんです。お金にもならないし、数字でこれくらい困っているというのを見せられない。なので、支援がなかなか届かないんですよ。心の問題って見えないから。
haco!:
そうですね。「がんばって勉強しなさいよ」ということで済む問題じゃないっていうことですよね。学ぶということに対して前向きになれない。
坂本さん :
そうですね。前向きになれないですし、はっきり言ってしまえば、ポーランドでいじめありますし、言葉ができないので先生の言っていることがわからないとかも、もちろんありますし。もうひとつ言うと、戦争が終わったらみんな帰りたいのでポーランド語をやる気分にもならないし、ということですよね。
こどもたちっていっても、幼児とか乳児とかあのへんのケアは結構あるんですけど、
それより大きく、例えば小学校高学年とかあのへんの支援がなかなかないんですよ。
なので地方の小学校高学年くらいのこどもたちが一番苦しんでるって感じですね。
haco!:
思春期だし、いろんなことがわかってくるし。これから人格が形成される、というときにこんな状況だから。
坂本さん :
もちろん小さいこどもたちも、生まれたときから戦争しているような環境で育って、その子たちが物心ついていく過程がどうなっていくのかが心配な気持ちもあります。
ただ、生まれたときから戦争がある状態だと、なんで戦争が起きたんだろうかとか、そこまで考えないじゃないですか。思春期の子たちは、それがある。
なので、やっぱりいまは思春期のこどもたちが特にケアが必要なんじゃないかなって思っています。
haco!:
ありがとうございました。日本では残念ながら報道される頻度も減ってきていて、さらにこういった踏み込んだ情報はなかなか知ることができません。
haco!のお客さまにもこの事をお伝えできて嬉しいですし、もっともっと日本でも知られていくべきだと思います。
今回は、来日中のお忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。
坂本さんの書籍はこちらからお買い求めいただけます
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引き続き、彼と蜜に連携を取りながら、ウクライナへの支援を継続、拡大してまいります。
「ラブアンドピースプロジェクト2022」でご参加いただいたみなさまに、
改めまして、心より感謝申し上げます。
今年も、こどもたちのしあわせな未来のため、特にウクライナで困難に直面しているこどもたちのため、
プロジェクトがスタートします。
ぜひ、ご参加いただけるとうれしいです。