UNICOLART artist interview vol.4『つぼみ』
UNICOLARTチャレンジドアーティストの作品に魅了され、「つながる」一つの方法として商品を企画しているUNICOLART。
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今年の春は、エイブルアート・カンパニー登録作家のKeiさんの作品「つぼみ」をもとに、ワンピースとボトムスをつくりました!
今回も、素敵な作品を生み出すアーティストKeiさんのもとへ、若手スタッフtamaとassyが取材に伺いました!
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やっぱり予習は大事です!ということで、Keiさんがどんな作品をこれまで描かれてきたのか、WEBサイトで作品を見てみました。どれどれ……。
「……か、かわいい!!!」
なんと一目ぼれ!
Keiさんの作品はシンプルな線で描かれた絵本のような世界観と、美しく優しい色合いが印象的。おとぎ話に出てきそうな子どもや動物の絵、テキスタイルのような抽象的なイラストなど、作品のスタイルもさまざまです。一体どんな人なんだろう、と会う前からとっても楽しみに!!
そんなファンのようなドキドキも携えながら、取材当日。先輩スタッフのassyと一緒にKeiさんのご自宅に伺いました。はにかみながらも優しい笑顔で迎えてくださったKeiさん。お手元には、びっしり鉛筆で書き込まれたメモが!なんと事前に送った質問に対して、答えをたくさん用意してくださっていました。
今回も緊張気味だったスタッフtamaも、ほっと心がゆるみます。「これは余すところなく魅力の裏側を伺わねば!」と、早速作品を見せていただきながらお話を聞いていきます。
Keiさんが取り出したのは、A4サイズのファイル。数々の作品が何冊にもわたりきれいにファイリングされていました。
いろんなスタイルの作品が並ぶなか、まず伺ったのは、同行したエイブルアート・カンパニーのスタッフ、中谷さんも大好きだという作品。
「これ、私もどうやって描いているのかなとずっと気になっていました。パソコンですか……?」
するとKeiさんは、
「やっぱり! 誰も気づいてないと思ってたんですよ~」
と笑いながらおもむろにペンと型紙を取り出し、その制作方法を再現してくださいます。キリンの形を切りぬいた紙を重ね、ご自分でつくった道具を使い、ステンシルのようにポンポンと色をつけていくと、あっという間にキリンの姿が! カラフルな蛍光ペンを使って色もつけていきます。みるみるうちに出来上がる作品を目の前に、「いやあ、まったく想像つかなかったです!」とスタッフassyもワクワク顔。
Keiさんの作品は実にさまざまな方法で描かれていました。パソコンで描いたように見えるまっすぐな線も手描きだったり、手描きだと思うとパソコンで描いていたり。
「どれもやりながら考えて、納得いかなくて、また描きなおして、の繰り返しです」
とKeiさん。
「え、これも手描き!? これは逆にパソコンで!? いやこんな風合い、出るんですか!!」と感嘆しっぱなしの一同ですが、ご本人は「大したことないんです」「自分の作品なんて」と、辛口めの評価。過去の作品も、見直してヘンだと感じたら納得がいくように描きなおすのだとか。……いやいや、ハードル高すぎませんか?!
「いろいろな方法を試すんですが、いつも限界を感じて、また別の画材や方法を試して。それでいろんな絵のスタイルができ上がるんですよね」
確かに、お持ちの画材は色も種類もさまざまなものが、たくさん! 小さなころから絵を描くことが好きだったというKeiさん。いろいろ試してみて、追求するという姿勢は、やっぱり「好き」という気持ちから生まれてきているのかな。そして「好き」が情熱に変わると、こんなにたくさんの素敵な作品が生まれていくのだろうな~、と納得です。
そんなシビアな目で厳選され、発表されている作品たち。そのなかでもhaco!がお洋服の柄に選んだものは、スケッチのなかで偶然生まれた作品「つぼみ」でした。「なんのお花なんだろう?」と想像が膨らむ、不思議な形をした花びらが特徴的な水彩画です。
「ほかの作品と、なんだか雰囲気が違いますよね」
「実はこれは花を描こうと思っていたわけではないんです。水彩のにじみの表現が好きで、練習していたら、それがたまたま花のつぼみに見えて。それで葉っぱを描き加えてタイトルをつけました」
純粋に「面白い」と感じたものにはGOを出す。Keiさんの絵に対する愛情も感じられました。
さらに話は創作の背景へと移ります。
「作品を描こうと思う瞬間は、どんなふうにやってくるんですか?」
というtamaからの質問に
「ほかの人の作品を見たときに触発されることが多いですね」
というKeiさん。確かに、本棚にはたくさんの本や雑誌が!
普段は月に2,3回、病院や散髪ぐらいでしか外出をしないというKeiさん。お家にいても、インターネットもあまり使わないのだとか。けれど、いろんな作家の作品を見たくなったら、お家から少し遠い本屋さんでも、情報収集に出向くのだとか。
そんなKeiさん、エイブルアート・カンパニーの登録作家募集の記事をインターネットでみつけて応募。一度目は落選してしまいましたが、再びチャレンジし、二度目で見事通過したそうです。
tamaが好きな男の子のシリーズ。この《読書》という作品も応募のために描かれたのだといいます。ちなみにこれも、Keiさん的に納得がいかず、描きなおされていました。今回haco!の商品になった原画も、実は納得していない作品だったらどうしよう?!一同、ちょっぴりハラハラです。
仕事がしたくって、エイブルアート・カンパニーに応募したというKeiさん。登録後、企業の案内状やポスター、靴下などの商品に作品が採用されています。ほかの作家さんと比べても、起用率が高いというKeiさんに、気になる質問を……。
「いままで一番うれしかったのはどんなお仕事でしたか?」
「haco!です」
(一同)「「「え〜!!」」」
「すみません、いま言わせてしまいましたよね!? そういうしかないですよね!?」
「いや、ほんとなんですよ。服になるのがうれしくて。実はUNICOLARTの商品にならないかなあ、と思ってたんですよ」
実は、haco!のウェブサイトやUNICOLARTの取材記事もよく見てくださっていたとのこと。「tamaさんとassyさんのことも、知っていましたよ(笑)」とはにかむKeiさん。
自分の作品に厳しいKeiさんだから、商品になるのを嫌がっていたらどうしよう、とサンプルを見せつつもドキドキしていたtamaも、心の中で「ああ、よかった〜!!」と、ほっと胸をなでおろします。
そして、tamaからの最後の質問。それはプロフィールを見て気になっていた言葉でした。「理想は、自分だけが納得するのではなく、自分の描いた絵を見た人が喜んでくれるような絵を描くこと」。なぜそう思うようになったのですか? するとKeiさんは「自分一人の満足ではなく、ほかの人が絵を見てくれて、作品を通して幸せを共有できるとうれしいからなんです」と話されました。作品を見た人がどう感じるか、受け手の気持ちをイメージして描く。そのことが、知らず知らずのうちに受け手に伝わって、いろんなご縁やお仕事が生まれているんですね。
こうして取材は終了。ワンピースができ上がるまでの確認は、すべてFAXで行っているのだとか。「FAXは白黒なので、どんな色にプリントされて、どんな商品になるかはちゃんとわからないかも……大丈夫ですか?」というスタッフたちに、「大丈夫ですよ、好きにしてください!」と信頼度MAXのお返事が!
「みなさんはいいものをつくろうとしてくださっているから、自分が考えるよりも絶対にいいものができると思ってるんです。だから託していますし、何も異論はないです」と。
自分に厳しいけれど他人に優しい! 絵に対して真剣に向き合っているからこそ、同じモノづくりをしている人のことを信頼できるのかな。
自分ができることや持っている価値を、客観的にとことん見つめているKeiさん。自分が満足するだけではなく「誰かにとって価値があるか?」という視点を常に持たれていました。そして何かに取り組むことに対してとてもシビアな反面、一緒に仕事をする相手のことをしっかりと信頼している。何よりもつくることが好きなんだな、と思いました。果たして私は、ここまで自分にできることや魅力をきちんと把握して、突き詰めているだろうか? 誰かを100%信頼できるほど、自分は頑張れているだろうか? と、はっとさせられました。
それぞれの個性を生かし、その個性が役割となり、ともに生きてゆく。そして、社会がまわってゆく。UNICOLARTの商品は、「つながる」ひとつの方法です。Keiさんとの出会いは、まさにキラリと光った個性が生き生きと輝いているように感じました。
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